ヘッジファンドの手口② ステルス注文

アルゴリズム取引による空売り

ヘッジファンドが、自動売買システムを使って、空売りのアルゴリズム取引を度々仕掛けるのは、今では有名な話ですが、その手口についてまとめてみます。

 

ヘッジファンドは、株価を大きく吊り上げたあとに、まだ買い需要が旺盛なうちに大量の売りポジションを取っておき、その後、空売りのアルゴリズム取引を仕掛けます。

売りポジションを取った同日中に仕掛けることもありますが、たいていは翌日以降に仕掛けることが多いようです。

空売りは、一気に株価を下落させる場合もありますが、たいていは、時間とともにじりじりと空売りの発注をつづけて下落させて行きます。

デイトレーダーなどの、日中の株価の動きを見れる方は、度々、目にしていてよく知られている動きなのですが、アルゴリズムによる株価の値動きは概ね、下図のように動きます。

 

<アルゴリズム取引による空売りの値動き>

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一気に株価を落とさず、時間とともに、少しずつ、ほぼ一直線に落としてゆきます。

アルゴリズムの設定は、株価の「始点」と「終点」、「下落にかける時間」を指定して行う場合が多いようです。

予定した下落線より多少早く下落する分には、問題ないと考える場合が多いようです、

 

だらだらと株価を下落させる理由

なぜ、このような手法を取るかというと、このほうが儲かるからです。

空売りで儲けるには、自分が売りポジションを取った後に、さらに他者の売りが入って株価が下落することで、値幅が広がり儲けが出ます。

自分の売り注文で株価が下がってしまっては、たいして儲からないのです。

仕掛け中にも、売りポジションを増やすことになりますが、既に、高値で売りポジションを大量に抱えているため、仕掛け中の売りポジションについては大して利益が出なくてもよいのです。

 

ヘッジファンドなどが空売りを仕掛ける銘柄には、信用買いを始めとする大量の買いポジションが既に入っていますので、だらだらと株価を下落させることにより、買いポジションを保有する投資家の評価損が徐々に拡大して行き、投資家が耐え切れずに投げることで株価が下がり儲けがでます。

しかし、一気に株価が下がってしまうと、値ごろ感から別の投資家の買いが入って、場合によっては踏みあげられる可能性もあるので、別の投資家に、「まだ下がりそう」「まだ買えない」と思わせるように、少しずつ株価を下げるのです。

また、だらだら株価をさげる過程で、少しずつ入ってくる逆張りの買いは、株価反転を狙った短期買いである場合が多いので、その後にさらにだらだら下げ続けることで、その買いも損切による新たな売りに変えることができます。

投資家心理をついた、巧みな手法と言っていいでしょう。

 

 

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ステルス注文とは

株式市場にはたくさんの投資家が参加しているので、ヘッジファンドが空売りを仕掛けただけでは、株価をだらだらと下げられるとは限りません。

そこで用いるのがステスル注文です。

アメリカで何度も問題になったことがあるので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ステルス注文とは、HFT(超高速取引)を使って、他の投資家の出した注文を先回りする注文のことです。

ステルス注文を使用することによって、株価をだらだらと下げることが可能となります。

 

板で説明します。

空売りのアルゴリズム取引で株価を下落させている途中で、下記の状態となったとします。

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上図のような状態で、投資家が「1001円 10000株買い」の注文を自宅のパソコンから発注したとします。

 

普通に約定すると、下記の板となります。

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このような板になってしまうと、他の大勢の投資家は、大量の買いが入ったので、そろそろ反転すると感じて、次々に大量の買いを入れることでしょう。

いかにヘッジファンドとはいえ、大勢の投資家から一斉に大量の買いが入っては、踏みあげられて、空売りが失敗に終わる可能性があります。

 

そこで用いるのがステスル注文です。

HFT(超高速取引)は、最初の「1001円 10000株買い」の注文を瞬時に察知して、「1001円 10000株売り」の反対注文を先回りして出すことで、板の状態は何事もなかったように変化しません。

ステルス注文後の板は、下記のとおり最初の状態から変化しません。

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ステルス注文によって、投資家の買い注文が板に反映されるのを防ぎ、買い向かう投資家が誰もいないように見せかけることによって、何事もなかったように株価を、だらだらと下落させることが可能となり、一般投資家の損害が拡大してゆくことになります。

 

ヘッジファンドの空売り被害を防止するには

HFT(超高速取引)が広まっている以上、ステルス注文に対抗する手段はありません。

我々一般投資家が被害に合わないようにするには、短期で急上昇して割高となっている銘柄には近づかないことです。

どうしてもこれらの銘柄を触る場合は、このような空売り手法があることを知ったうえで、割り切って参加することを心がける必要があります。

また、このような株価推移に遭遇した場合は、売りのポジションをとることによって、利益を得られる可能性もあるでしょう。

 

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