HFT(超高速取引)とは、コンピューターを使ってアルゴリズムに従い、超高速で自動売買を行う取引のことです。
東証は、2010年1月4日から次世代売買システム「Arrowhead(アローヘッド)」を導入して、1000分の1秒以下で注文を処理できるまでに売買システムを高速化させました。(さらに2015年9月24日には処理性能を2倍以上にリニューアル済です。)
東証がArrowheadを導入した理由は、膨大な注文を安定的に処理するためと、売買の6割以上を占める海外投資家の要望に応えたものと言われております。
これに伴い、ヘッジファンド(および一部の機関投資家)は、HFT(超高速取引)を駆使してミリ秒単位で高速売買を行い、わずかな価格差を利用して利益を得ています。
ヘッジファンド(および一部の機関投資家)がHFTで行う取引がどのようなものか記載します。
同じ価値を持っている商品の間で、価格差が生まれた場合に、割安なものを買い、割高なものを売り、その後価格差が縮小したときに利益を確定させる戦略です。 先物と現物株との僅かな鞘を取ったり、市場間での鞘を取るなどの方法があります。一般的に極力両建てを利用してリスクの軽減を図る場合が多いようです。
市場全体の注文動向を読み取り、トレンドを判断して利益を上げる戦略です。 売り注文が多い場合は、空売りを仕掛けたり日経225先物を売ったりします。現在では、どの投資媒体がいくらで注文を出したのか、現物買いか信用買いかなどの手口情報が、自動売買システムに瞬時に伝わるようになっており、自動売買システムは、これらの情報をビッグデータとして処理することで、利益を上げるために最適な注文を出せるまでに進化しているようです。
例えば買い注文を沢山出して、他の市場参加者に多くの買い需要があるように思わせて高値で買わせたり、反対に売らせたりする戦略です。 株価が上昇する時には、売り注文を取り消して、売り需要をわざと少なく見せて更なる上昇を演出させて利益を上げます。反対に下落する時には、買い注文を消して更に下落させたりします。 個人投資家が行うと相場操縦と見なされる行為ですが、一部の自動売買システムでは実際に行われているようです。違法と言わざるを得ない行為です。
市場の情報を速く手に入れて自動売買システムで処理するために、東証では、コロケーションと呼ばれる、東証のプライマリサイト内に売買執行等のプログラムをインストールしたコンピューターを設置できるサービスをおこなっています。 これにより、東証の売買システム及び相場報道システムとの距離が短縮され、その結果、気配情報の取得及び注文の送信にそれぞれ片道数十マイクロ秒以下にまで短縮することが可能となっているようです。
いかがでしたでしょうか。
我々個人投資家は、このような高度な機能を持つHFTと同じ土俵で戦っているのです。株取引において個人投資家は圧倒的に不利な状況にある事がお分かりいただけたと思います。
今後、AIが進化することで、ますますHFTの精度が向上すると言われており、短時間での取引などでは個人投資家の勝ち目はなくなるかも知れません。
しかしながら、短時間の取引では歯がたたなくても、中長期で見れば、株価は最終的には企業業績に従って動くものです。
将棋や囲碁と違い、株取引には「時間」という軸があります。
まだまだ、個人投資家の戦う術は残っていると考えます。
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