先週、アメリカ大統領選に絡む株式相場の乱高下が発生しました。
11月9日は、日経平均が一時1000円を超える暴落となり、翌11月10日は一転して1000円を超える暴騰となりました。
当日の株価の動きはどのようなものだったのか、なぜこのような暴落が発生したのか、日経平均先物の動きから振り返ってみます。
<日経平均先物 15分足>
上図は日経平均先物の15分足です。
ヒラリー苦戦が伝わった11月9日10時30分ごろから、日経平均先物の出来高が急増して、急激に下落しています。
ヘッジファンドなどが、事前に用意していたトランプショックのシナリオを発動させ、日経平均先物、ドル円相場などに大量の売りを入れたのです。
大手機関投資家が運用するトレンドフォロー型(CTA)の自動売買取引システムは、先物や為替の急落を検知して、現物株式の投げ売りや、日経先物、ドル円の追従売りを行います。結果、先物主導にて日経平均も急落して行きます。
このような状況になると、市場は恐怖一色となり各所で投げ売りが始まり、下落が下落を呼び止まらなくなります。
この下落は、トランプの勝利がほぼ確定する14:00過ぎまで続きました。
14:30ごろからは、短期的な悪材料出尽くしと判断したヘッジファンドなどが、利益を確定するために日経平均先物やドル円の売りポジションを買戻し始め、相場が落ち着きを取り戻します。
その後は、トランプの勝利演説が好感されたこともあり、アメリカ市場が開く夜23:30ごろには、下落前の水準まで戻しています。
急落の開始から全戻しまで、わずか13時間程度、このシナリオを仕掛けたヘッジファンドは、大きな収益を上げたことでしょう。
今回の急落・急騰の原因は、ほとんどの大手運用業者が導入している自動売買システムによるものです。
仕掛けたのはヘッジファンドですが、市場の流れを検知して追従する自動売買システムが、暴落・暴騰を演出しているのです。
このような動きに影響されて、保有する株式を売却した個人投資家も多かったことでしょう。
我々個人投資家は、日頃から今回のような相場急変への備えと、実際に急変が発生したときの冷静な判断が必要となります。
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