個人投資家が原油へ投資する方法と、過去の投資事例を検証

最近、新型コロナの流行により原油価格の下落が続いています。

4月18日朝の時点でWTI原油先物(NYMEX)は18.12ドルまで急落しており、SNSでも原油への投資に関する話題が多くなってきました。

今後、新型コロナ流行の収束にともなって原油の需要は回復すると考えられるため、投資の選択肢に「原油」を考える方も多いと思います。

この記事では、個人投資家が原油へ投資する方法と、過去の原油暴落時に投資していたらどうなっていたのかについて検証してみました。

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個人投資家が原油に投資する方法

個人投資家は原油の貯蔵施設を持たないため、金(GOLD)のように現物を購入することができません。

個人投資家が原油に投資する方法は以下に限られます。

①原油先物に投資する。

②原油ETF/ETNに投資する。

③原油CFDに投資する。

④原油関連株に投資する。

 

①原油先物に投資する。

日経平均先物などと同様に、限月が定められた原油価格へ投資する方法であり、商品先物取引に該当します。

原油先物には、「NY原油」「東京原油」「ドバイ原油」などがありますが、どれも基本的にWTI原油先物(NYMEX)に連動しています。

WTI原油先物(NYMEX)の価格は、CME取引所のHPから確認できます。

CME Group Crude Oil Futures Quotes

 

4月18日朝の価格は下記のとおりです。

楽天証券で表示されている、WTI原油先物(NYMEX)の価格は、上記のうち期近のもの(現在はMAY 2020)の価格ですね。

後述する原油ETF/ETNや原油CFDと比べると、原油先物には決済期限がありますが、逆に言えば限月切り替えにかかる価格調整が発生しないため、原油先物はダイレクトに価格変動を狙えるという利点があります。

原油価格の変動を短期で狙うなら原油先物がベストです。

もちろん、リスクも高いですが・・

 

 

②原油ETF/ETNに投資する。

原油ETF/ETNは個別株と同様にいつでも手軽に購入できる商品(投資信託)です。

原油先物とは異なり決済期限がありません。

ETFとETNの違いは現物の裏付けがあるかないかです。

代表的な商品は以下です。

・(1671)WTI原油
・(1699)NFNOMURA原油
・(2038)NN原油ブルETN
・(2039)NN原油ベアETN

 

上場株式と同様に、マーケットが開いていればいつでも簡単に売買できます。

手軽に購入できるため原油暴落時に人気になりがちですが、商品の性質を理解したうえで購入する必要があります。

 

原油ETF/ETNは基本的に原油先物価格に連動する商品ですが、決済期限がないため永遠に限月の乗り換えを続けていく商品です。

現在のような新型コロナ相場では、誰でも将来的に原油需要は回復して原油価格はこれから上昇すると考えています。

その結果、原油先物の価格は現在よりも将来のものが高く設定されています。

いわゆるコンタンゴの状況です。

先ほどの表を見てもらえばわかるのですが、現時点の原油先物の価格は以下のとおりです。

・MAY 2020 18.12ドル
・JUN 2020 25.14ドル
・JUL 2020 29.52ドル

現時点の先物価格でいうと、来月の限月切り替えに向けてETF資産を18.12ドルで一旦売却して、25.14ドルで買い直すという手続きを順次進めることになります。

つまり先物価格が右肩上がりの状態(コンタンゴ)では、安く売って高く買い直すことを繰り返すため、1株あたりの株価は減衰してゆきます。

もちろん、原油の先物価格は常に変動しているため、コンタンゴによる減衰以上の原油価格の上昇があれば、原油ETF/ETNも上昇することになるのですが・・

 

 

③原油CFDに投資する。

原油CFDも決済期限がなく、基本的な性質は原油ETF/ETNと同様の商品です。

原油CFDの場合も、原油先物の期近と期先の差分を価格調整金という名目で調整しているところが多いようです。

FXでいえば、スワップ金利を払うようなイメージでしょうか。

現在のように原油先物がコンタンゴの状態にある場合、価格調整金を支払い続けることになるため、長期投資には向きません。

CFDのイメージからは、原油の価格変動を先物と同様にダイレクトで狙えるのではないかという印象がありますが、価格調整金が発生するため超短期で狙う場合に限り有効という印象。

短期で値幅を狙うなら、CFDよりも原油先物がベストです。

 

 

④原油関連株に投資する。

原油価格に業績が連動しやすい個別株に投資する方法です。

有名どころでは以下の銘柄があります。

・(1605)国際石油開発帝石
・(1662)石油資源
・(5008)東亜石油
・(5021)コスモHD

 

個別株の場合は配当をもらいながら株価上昇を待つことができるため、長期限定で考えると個人投資家としては一番気になる投資法です。

 

過去の原油暴落時の長期投資を検証

最近の原油価格の暴落は、2016年2月にかけて発生しました。

アメリカのシェール革命に危機感を抱いたサウジアラビアなどの中東勢が、シェールつぶしに動いたことが原因ともいわれましたが、当時のWTI原油の最安値は1バレル26ドル台でした。

その後、WTI原油は2018年秋に78ドル台まで上昇しました。

最安値から最高値までの最大上昇率は、約300%でした。

 

長期投資の検証として、原油価格が最安値をつけた2016年2月以降に下記の2銘柄を購入した場合について、その後の最大上昇率などを検証してみました。

・原油ETFの代表銘柄である(1699)NFNOMURA原油

・原油に業績連動する(1605)国際石油開発帝石

 

 

(1699)NFNOMURA原油が最安値をつけたのは、2016年2月12日のザラバの261円です。

その後の最高値は、2018年10月4日のザラバに535円をつけています。

最安値から最高値までの最大上昇率は、約204%でした。

WTI原油の最大上昇率は約300%でしたので、差分の96%がコンタンゴの影響と考えられます。

また、最安値をつけてから1年程度は、WTI原油が急速に上昇しているのに対して、原油ETFは株価が揉み合いを続けていることが確認できます。

 

 

(1605)国際石油開発帝石が最安値をつけたのは、2016年7月8日のザラバの735円です。

これは、WTI原油が最安値をつけてから約5か月後になります。

個別株ですので、恐らく原油安の悪影響が業績に反映される1Q決算直前に最安値をつけたのではないかと推測されます。

その後の最高値は、2018年1月15日のザラバに1,529円をつけています。

最安値から最高値までの最大上昇率は、約208%でした。

最安値をつけるまで時間がかかっていますが、最安値をつけてからは急速に株価が上昇しています。

また、国際石油開発帝石の場合、これに加えて年間3%程度の配当を加味する必要があります。

もちろん国際石油開発帝石は個別株ですので、原油価格以外の影響も受けています。

 

 

(まとめ)

・原油暴落時の、原油ETFや原油業績連動株への長期投資はどちらも報われる。

・長期投資での最大上昇率は、どちらも原油価格の上昇率の2/3程度。

・原油ETFは原油価格上昇後もしばらく揉み合いを続ける。

・原油業績連動株は、原油価格安の影響を受ける決算発表前に買うのがベストか。

・原油価格の変動を短期で狙うなら、断然原油先物。

 

 

※原油への投資は、どの手法を選択したとしても大きなリスクを伴います。

投資は自己責任でお願いします。

 

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